タイトル |
歌い出し |
東京
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点滅を繰り返してそれは 遠くまで連なっている 笑っているように見えて 泣いているように見えるのは 輝く都市の栄光
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夜明けの歌
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夜が明ける 見えるだろ? 東の空 白むのが
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夏の日の午後
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神様 あなたは何でも知っていて 心悪しき人を打ち負かすんだろう でも真夏の太陽は罪を溶かして 見えないが確かに背中にそれを焼き付ける
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青すぎる空
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あの人が あの雲の彼方で 呼んでいる様な そんな気がして 足を止めるよ
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いずこへ
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揺れるアスファルトに白い雲 『幸せなの?』 『幸せだよ』と頷く命 さらば少年の夏の宵 『死んでしまえ、死んでしまえ』と嘯く命
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裸足で行かざるを得ない
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遍く照らし出す光に 渋々歩み行く毎日 嬉しかれ悲しかれ道すがら 声高く歌はある 誰にでも
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踵鳴る
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窓を叩く空は 割れる様に笑うよ 汚れ眼鏡が青く染まれば 足を鳴らして俺も笑うよ
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砂塵の彼方へ
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砂の様に 霧雨の様に 真昼は降り注ぐ 拒絶の矢は雲間を射抜いて 空を射落とす
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ギラリズム夜明け前
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硬直した感受性は泣かない くたびれ果てた感受性は泣かないもんだ 寄り集まって慰めあって 文殊の知恵を手に入れた 老成して出来上がって
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泥濘に住む男
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消したくて 消えなくて 消えたくて 消せなくて 朝が濁り
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雨曝しなら濡れるがいいさ
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コンクリートの隙間から顔出した 草の様な花の様な 「なんだってかんだったって知らないよ」 なんでもねぇやと突っ立っている
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浮き雲
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今、午前の空の下 目に滲みいる青と白 舗道が焼ければ 濁った憂いが溶けて流れる
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静寂が燃える
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駆け出したはいいが 靴音が跳ね返り突き刺さる 月曜の太陽に静寂が燃えて姦しい 花には風が
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素晴らしい世界
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急ぐ言葉は千切れて落ちて足下に転げる 気にすんな、それは蹴飛ばしとけよ 次はすぐ顔出す 笑い、歌い、弾んでいけよ
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地球の裏から風が吹く
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六車線の朝に 霞む空に 窓に映る顔に 地球の裏から風が吹く また今日が手渡される
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沸点36℃
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後手にバタンとドアを閉めて もう後には退けないなんて 分かり切った事さ 生まれたくて生まれたんじゃないと 拗ねて世界に唾を吐いて
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滑走路と人力飛行機
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空から落ちて来る 得体の知れない狂気は 45度の角度で 放り出してやれ 背後から付けて来る
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野良犬、走る
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立っているだけで精一杯でも 努めて何でもないような眼差しで 雨が降ったら 野良犬、濡れて走る 言葉など持たないが
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五月の空の下で
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狂い出した歯車が今、 加速を付けて廻る 笑い出して走り出す朝 高架下 白いシャツ
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白昼の行方不明者
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纏わりついて来る蝿のように 何処までも寄り添って来る 安っぽい絶望が 安っぽい涙が
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旅行者達の憂鬱
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一時間前の風景は バラバラに引き剥がされて トラックに載せられ 何処かへ運び出されて行く 別れの仕草は小さい方が良い
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サンセットマン
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湧き上がる悲しみを 恥じて殺さないでくれ 耐え切れない涙を 笑う奴等に負けないでくれ 転げ落ちる不安と
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ばかやろう節
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不法投棄されて 夕陽を反射している 軽トラックみたいに 暮れ残って俺は 小さな橋の上で
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夜がまた来る
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坂の道を長く下る時 街灯りは遠く広がる この夜に二度目など無いから 想いの全てを込めて 口笛を
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小さな友人
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きこえない ふりをして なにをみているの? くうきのなか おしゃべりも
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葉桜並木
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心を眠らせ 人々の中へ 花は終わった様だ 葉桜並木
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風ノ中
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裂けて弾ける様な 怒り持て今日は 又、茜入り日の中 薄らぎて霞か雲か
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ズッコケ道中
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眠る舗道に細い雨 簡単な事さえ 出来ない男には 夜風も冷たいが 諦める事などない
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未ダ未ダヨ
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鳥ガ飛ブ 街路樹ノ枝 子供等ノ走ル声 窓ニ焼キ付ク 長イ影
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夜の追憶
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さらば春の日よ また会おう 何時の日か さらば過ぎし日の 青白い三日月よ
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