風かぜにゆれてる
物干竿ものほしざおの
赤あかいエプロン
見みえますか
いまもぞっこん
惚ほれてる合図あいず
帰かえって来きてよ
一文いちもんなしで
なんにも持もたない
あんたが好すきよ
(セリフ)
（「何なんにも無ないから
何なんでも出来できる」
それがあんたの
口癖くちぐせやった…)
(セリフ)
(あの女ひとが現あらわれてから
あんたは変かわりはった
魂たましいを 抜ぬかれて
しまいはった…)
そりゃあ 私あたしは
おしかけ女房にょうぼう
顔かおや容姿すがたじゃ
負まけるけど
よごれ役やくなら
まかしておくれ
帰かえって来きてよ
行いくとこなけりゃ
六帖一間ろくじょうひとまで
出直でなおしましょう
(セリフ)
(あんたを好すきに
なりはった
お女ひとやさかい)
(セリフ)
(けなすつもりは
ないけど
やっぱり夫婦ふうふは 合性あいしょうや)
(セリフ)
(あんたには私うちが一番いちばん！
そうですやろ…)
女難じょなんがらみの
流転るてんの末路まつろ
耳みみにするたび
泣なきました
みんな女あのこに
あげちゃいなさい
帰かえって来きてよ
一文いちもんなしで
赤あかいエプロンは
私あたしの祈いのり