北きたへ急いそぐ女ひとも
西にしへむかう男ひとも
みんな背中せなかに 夢ゆめを
ひとつずつ しょっている
だけど おれは
ひとり
あてもなく
海うみぞいの町まちをゆく
帰かえりたい 帰かえりたくない
迷まよう心こころで
ふりむけば
日本海にほんかい
海鳥うみどりの歌うたも
きこえない

五勺ごしゃくの酒さけに酔よって
故郷くにの唄うたをうたえば
寒さむい町まちにも ぽつんと
あたたかい灯ひがともる
なぜに こうまで
意地いじを
通とおすのか
時代じだいに背せをむけて
信しんじたい 信しんじてほしい
あの日ひの愛あいを
ふりむけば
日本海にほんかい
如月きさらぎの
白しろい風かぜが吹ふく

きっと いつかは
あなたに
とどけたい
こころの真実しんじつを
忘わすれない 忘わすれたくない
ふたりの夢ゆめを
ふりむけば
日本海にほんかい
さすらいの胸むねに
陽ひが昇のぼる