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風待かぜま風鈴ふうりん
縁側えんがわながめてた
なつさえ
おぼろげにえたころ

あぜ道並みちならんで
家路急いえじいそいだ少女しょうじょ
記憶きおくのどこかで
いまもまだわらってる

とお面影おもかげだけは
もうかえらないと
まった夕焼ゆうやけのそら
歌声うたごえ一片ひとひらつづ

山際走やまぎわはしくも
いかけてあそかぜ
ほほけてこした
野辺のべ水芭蕉みずばしょう

ざわめく夕立ゆうだち
むかえにじゃ目傘めがさ
したた雨音あまね拍子ひょうしわせ
はしゃいで

無邪気むじゃきにおどける
ぼくにぎはは
うたったちいさな
旋律せんりつがこだまする

とお面影おもかげだけは
もうかえらないと
まってかえぼく
背中せなか夕陽ゆうひがそっと

さよなら旅立たびだ
見送みおくってくれたとも
八月はちがつりつける太陽
なみだれた陽炎かげろう

なつるとよみがえ
はるかなかぜ とおそら