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風吹かぜふけるまちあわりの記憶きおく
西日にしびぼくかげばすにつれてよみがえ
もう「あのころ」とすべてのことを有耶無耶うやむやにするんだけど
りはしないものをオモイデというんだろう

うつすべてのものは姿すがたえるけど
ぼくのみた過去かこ根掘ねほ葉掘はほ辿たどるにつれ
いろあざやかに脳裏のうりがる

あの時飛ときとしたきみ笑顔えがお
せるなみ飛沫浴しぶきあびながら
りんとしてそびきみかげ
影送かげおくりのようむねいてる
そう いまでも

「あのころ」のぼくたちは おたがいの殻破からやぶれなくて
そうすこしずつひらいていくれぬはなつぼみ大切たいせつそだてた
やがておおきくみのった果実二人かじつふたりながめていた
そいつをもぎってくちにしたらえてなくなるがした

ワレモノをはこようきかかえながら
そっとフリーザーのなか
やがて二人ふたりはそれぞれの果実選かじつえらんでたびなか

ひとにはだれにも過去かこがあるさ
だれしもがせたがる事実じじつ
ひらいてつめるそのつよさを
これからのぼくあたえてくれないか
「あのころ

飽和ほうわしていくおもいが いくつも感情集かんじょうあつめて
おおきなくもになり なににもえがたいあめらす

傷口舐きずぐちなめあうこいうた
みみにするのももうんざりだから
りんとしてそびぼくかげ
むねおくそっとけていくんだ
さあ そう