雨上あめあがりの並木道なみきみち
排気はいきガスと草くさの匂におい
君きみは僕ぼくのななめ前まえ
咳せきをしながら
苦くるしそうに
笑わらった

赤あかく錆さびた鉄棒てつぼう
造つくりかけの砂すなのダム
君きみは僕ぼくの後うしろから
ゴムのボールを
日ひの沈しずんだ空そらに
高たかく投なげた

「とれるわけないだろう!」 呆あきれながらも 慌あわてて追おう
「とれなくてもいい」と 君きみは微笑ほほえんでた

夕焼ゆうやけが終おわっても
キャッチボールは続つづいてた
君きみはちょっと飽あきた顔かお
思おもい付ついた顔かお
コントロール無視むしの
カーブ投なげた

「とれるわけないだろう!」 呆あきれながらも 必死ひっしでとる
「とれないと思おもった」と 君きみは驚おどろいてた

カーブの様ような愚痴ぐち

消きえる魔球まきゅうの様ような優やさしさ

君きみのボールはいつも
届とどかない所ところへ飛とんでいく
君きみはボールを何度なんども
僕ぼくに投なげた

とれるわけない球たまも 呆あきれながらも 必死ひっしで追おう
「とれなくてもいい」と 微笑ほほえんで欲ほしくない

今いままで
見逃みのがした 優やさしさや愚痴ぐちやいろいろ 必死ひっしで追おう
キャッチボールは続つづいていく いつまでも続つづいていく

上手うまくなって 距離きょりを置おく
心こころは近付ちかづいていく
君きみの声こえは遠とおくなり
君きみのコエが近ちかくなる

カーブの様ようなグチ

消きえる魔球まきゅうの様ような優やさしさ