物語ものがたりの始はじまりはそう 成なす術すべの無ない僕ぼくらが主役しゅやく
白しろいライト当あてられて 期待きたいを背負せおって
「頼たのむゼ我われらがスラッガー。今日きょうはどうした
未いまだノーヒットノーラン」

一番前いちばんまえで見みている人ひとの目め その想おもいは僕ぼくをあせらせて
高鳴たかなる心こころの背中せなかにつかえる
タメ息いきに勇気ゆうきかき消けされても「まかせろ」なんていう

だけど ライトからすぐ逃にげたいよ
打うてるかな 打うてなきゃ
ノーヒットノーラン
スラッガーだって怯おびえるんだ

好すきな時ときに好すきな事ことをして 時々休ときどきやすみ
また適当てきとうに歩あるき出だしていた それがいつの間まにか
誰だれかに何なにか求もとめられて誰だれにも甘あまえられない

ライトからすぐ逃にげたいよ
だけど僕ぼくはスラッガー
ノーヒットノーランのままじゃ
認みとめられない
そんな僕ぼくは存在そんざいしちゃいけない

願ねがわくば怯おびえる自分じぶんに 逃にげ場ばを与あたえてあげたい
願ねがわくば誇ほこれる自分じぶんと名誉めいよとライトが欲ほしい
ボクになにがのこるんだろう?
臆病おくびょうなボクにナニガデキルンダロウ?

ライトがまだ足たりないよ
「ボクはスラッガー」
もっと思おもい込こませてくれ

物語ものがたりの始はじまりはそう 成なす術すべの無ない僕ぼくらが主役しゅやく
白しろいライト当あてられて 期待きたいを背負せおって
「頼たのむゼ我われらがスラッガー」
「まかせろ!!」と僕ぼくは胸むねをたたく

この手てよ今いまは震ふるえないで
この足あしよちゃんとボクを支ささえて
白しろいライトあてられて 怯おびえないように
帽子ぼうしを深ふかくかぶり直なおし
不適ふてきに笑わらうスラッガー

普通ふつうに生いきてりゃ誰だれだって
ライトを浴あびる日ひは訪おとずれる
そんな時誰ときだれでも臆病おくびょうで
皆みな 腰こしの抜ぬけたスラッガー

ノーヒットノーラン
誰だれかにそれを知しってほしいから
「まかせろ!」って
僕ぼくは胸むねをたたく