薄うすれることはあっても 消きえることはない 一人ひとりの人ひとを愛あいした記憶きおく
あの頃ころいつも いつの日ひも眼差まなざしの先さきにあった未来みらいは一ひとつ 永遠えいえんの絆きずな
風かぜに揺ゆれる紅葉もみじの
あの小ちいさな木きの下したで勇気ゆうきを振ふり絞しぼって伝つたえた一ひとつの告白こくはく
右手みぎての薬指くすりゆびにはめたお揃そろいの心地ここちよい束縛そくばく
春はるの温あったかい陽ひだまりの中なかで じゃれ合あいながら
このまま 時ときが 時ときが止とまってしまえばいいのに 本気ほんきでそう思おもった
「おはよう」「おやすみ」「手てを繋つなごう」「ずっと一緒いっしょにいよう」
「ありがとう」「ごめんね」「また明日あした」「晴はれるといいね」
そんな当あたり前まえの繰くり返かえしが 僕ぼくにとって輝かがやく愛あいの日々ひびでした
過すぎ去さった時間じかんは輝かがやきを増まして
僕ぼくにはあまりにも眩まぶしくて 淋さびしくて 胸むねがしめつけられる
あの日ひ、抱だきしめた腕うでを緩ゆるめたら もう二度にどと
二度にどと逢あえなくなる気きがした
そして僕ぼくはひとりになった
今年ことしも紅葉もみじが風かぜに舞まって秋あきの終おわりを美うつくしく彩いろどっています
この小ちいさな木きの下したで静しずかな恋こいの物語ものがたりを終おわらせる前まえに
一ひとつだけ・・・
僕ぼくは、僕ぼくはあなたの記憶きおくの中なかで上手じょうずに笑わらえてますか?