あの子この前まえを上手じょうずに通とおる癖覚くせおぼえたのは
もうずいぶん前まえの事長ことながいなぁ
あなたの視線追しせんおうと必かならずいるあの子この前まえを
通とおり過すぎてる事ことであたしに気付きづいて欲ほしくて

すぐそこの曲まがり角かどで聞きこえてきたんだあたしの耳みみには
あの子こを想おもう気持きもち声こえになって
その先さきは言いわないで聞ききたくない

アイスは溶とけてただまずいだけ
あたしの心こころもおいしくないわ
指ゆびの方ほうまで流ながれてしまってもう誰だれも振ふり向むいてくれない

折おれた鉛筆えんぴつの先さきはどこへ飛とんで行いくのだろう
あなたに宛あてた手紙てがみいつも渡わたせないまま
昼過ひるすぎの教室きょうしつから聞きこえてきたんだあたしの耳みみには
あの子この笑わらい声ごえと一ひとつになって
走はしり去さるこの廊下ろうかとても遠とおい

喉のどが乾かわいてただ痛いたいだけ照てりつける陽射ひざしかわいくないわ
泣なきたかったのにあたしの顔かおは「認みとめるしかない」と笑わらった

アイスは溶とけてただまずいだけあたしの心こころもおいしくないわ
指ゆびの方ほうまで流ながれてしまってもう誰だれも振ふり向むいてくれない
今年ことしもまた思おもい出だすなぁ あの空そらあの道みちあなたの顔かお
汗あせの止とまらない1時いちじの廊下ろうか
思おもわず目めを閉とじた夏なつの日ひ