路面電車ろめんでんしゃは街まちを抜ぬける
中吊なかづり広告こうこく
真夏まなつの景色けしきが窓まどに揺ゆれる

ビルの谷間たにまを抜ぬけ出だして
二ふたつ目めの駅えきのプラットホーム
日差ひざしが雲間くもまに逃にげ込こんで行ゆく

三塁さんるいベンチの夏なつが終おわる
遠とおくでサイレン
僕ぼくはいつかの夢ゆめを拾ひろう

目めを閉とじて想おもうその先さきの
汚よごれ無なき白しろいユニホーム
背中せなかの数字すうじが溶とけ出だしている

ビルの谷間たにまを抜ぬけ出だして
五いつつ目めの駅えきのプラットホーム
忘わすれた記憶きおくが溶とけ出だしている

日々ひびが巡めぐって
僕ぼくを汚よごして針はりは進すすむ
穴あなが空あいて
いつかなくした心探こころさがす

終点しゅうてんのベンチで君きみを想おもう

日々ひびが巡めぐって
君きみを汚よごして僕ぼくは進すすむ
穴あなが空あいて
いつかなくした心探こころさがす