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とおりをきかう 人影ひとかげもなく
路地裏ろじうらひびごえもない
かれることない こごえた炉辺ろばた
ざされたままの ちいさなとびら

歴史れきしきざんだ いしかべ
いまいろあせ かたちをなくし
くさおおわれた 石畳いしだたみには
砂埃すなぼこりだけが あそんでいる

みんなはどこへ ったのだろう
わたしあいした あのひとたちは
いろのあせていく たそがれのなか
わたし一人ひとり なみだする

ひろがる田畑たはたたねかれず
名前なまえらない くさしげ
いとなみのあと草木くさきかく
みのりの記憶きおくとおくになった

つくろつづけても ほつれていく
かがやきのえた わたし世界せかい
らす あかりもなしに
それでもあゆみは められぬ

これからどこへ くのだろう
わたしあいする あのひとたちは
いろのあせていく たそがれのなか
わたし一人ひとり くす