ずっと南みなみの
小ちいさな島しまは
何故なぜか凍こごえて
私わたしを創つくり

無垢むくな白目しろめに
まばゆい月つきを
焼やけた太陽ひかりを
全すべてを与あたえ
注そそぎ込こんで
歩あるかせて

その目めをもう
つぶしてしまった

私わたしは誰だれなのかしら?
どこへ向むかうの?
あなたは幸しあわせだった?
海辺うみべに打うち上あげられた
体からだを覚おぼえている?

透すけた波なみには
水雲スヌイが揺ゆれて
いつも黙だまって
寄よせては返かえす

鬼おにと人ひととが
卵たまごを食たべて
強つよく確たしかに
ひらけた潮しおと
しなる指ゆびに
赤花あかばなを

この目めが見みた
うねる空そらの色いろ

私わたしは誰だれなのかしら?
どこへ向むかうの?
あなたは幸しあわせだった?
海辺うみべに打うち上あげられた
自分じぶんを覚おぼえている?

あなたの涙なみだを湛たたえ
あなたを呑込のみこむ海うみで
今日きょうに息いきづく者ものと
明日あしたヘ死しにゆく者ものと

この目めにはもう
眩まぶしすぎるの

私わたしは誰だれと泣なけばいい?
どこで眠ねむるの?
あなたを愛あいせていた?
海辺うみべに打うち上あげられた
亡骸なきがらを覚おぼえている?
まるで珊瑚さんごのような
自分じぶんを覚おぼえている?