眠ねむれないのは何故なぜ? 静しずけさに酔よいしれてた
湿しめった部屋へやで一人ひとりまた 口くちずさめば虚むなしく
眠ねむれないのは何故なぜ? あなたが見みえたから
視点してんは濡ぬれた床ゆか 頭あたまをかしげて眠ねむってる

知しりたくもないような現実げんじつにただ無感情むかんじょうで
声こえも出ださずずっと 瞬まばたきすら忘わすれて あなたに見蕩みとれていた

眠ねむってしまいたい 目覚めざめだけを恐おそれて
全すべてを忘わすれたい 身勝手みがってな戯言たわごとね
あなたの名前なまえを呼よぶ 寡黙かもくに気きがふれる
痩やせた肩かたを掴つつみ叫さけんだ か細過ぼそすぎた温ぬくもりに

知しりたくもないような現実げんじつに深ふかく心溺こころおぼれ
唇くちびるを噛かみ堪こらえた涙なみださえ 意味いみが無ないと知しった

立たち尽つくす僕ぼくの背後はいごの声こえ
吐はき出だす理由わけなど どうでもよかった
ただ 目めの前まえのあなたがとても寂さびしそうな顔かおで
何一なにひとつ出来できなかった 自分じぶんを死しぬ程憎ほどにくんだ

名前なまえをくれた唯一ゆいいつのあなたへ このまま傍そばに居いてくれないか
そう 僕ぼくにとって最初さいしょで最後さいごの優やさしき「母はは」

白しろい壁かべにそっと 真まっ赤かな絵えの具ぐであなたを縁取ふちどった
まだ暖あたたかい頬ほほをすり寄よせて 静しずかに笑わらってみせよう
大粒おおつぶの涙なみだがあなたと重かさなって 一ひとつになれた気きがした
目蓋まぶたを閉とじ 温ぬくもりが消きえる頃ころ 僕ぼくはあなたの傍そばで