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もしもわたしが
仄蒼ほのあお薔薇そうびなら
肉体からだほころはなでしょう

する駒鳥こまどりたち
とげきしめ
あまみつきかえに
そそがせあかあか
つきびて燦燦さんさん
さかりのときまらせて
いのりのように のろいのように
ひらいた花唇かしん奥底おくそこうた

そうまでもして
ほこるのかと
うなかれ

もしもわたしが
いた薔薇そうびなら
こころうごめくそのでしょう

土深つちふかくに亡骸なきがら
いくかぞえて
やみみしにご夜露よつゆ
むさぼくしくして
あかくきのぼりつめ
ひかり在処ありか さぐりつづける
天女てんにょのように けもののように
ちていく場処ばしょ墓穴はかあなれど

それほどまでに
あいしたいのかと
うなかれ

えだめぐにじませ
みずからの架刑かけいとせん
つきひそ煌煌こうこう
わたしは薔薇ばらでわたしはおんな
のろいのように いのりのように
するおもいはかおりつつただ

そうしてなおも
きてゆくのかと
いながら