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きれない やみなすりて 仄白ほのじろあめ
そぼつる 螟蛾めいがはねおだやかに もぎとす

もう なにえぬ わらわやみなか ふかふかしずみたい

まない あめあつめて 仄暗ほのぐらやみ
時雨しぐれれることも わすれた 眼鞘まなざやざすため

もう だれらぬ 黄泉國よもつくにそこ
ずっと ずっと かれたい

嗚呼ああ こいうた嗚呼ああ かれつたえて
嗚呼ああ とおかぜいとおしき こえ

たびよすがれて たらした おみな
見目麗みめうるわしく 艶事欠つやごとかかぬ 色女いろめ

何時いつつがうと 容易たやすくるいて
おわるやいなけつくりて 帰路きろ

何処いずこせた いとしき おのこ
うしなわれたのは はな
けっして たがわぬ 貴方あなたにお
いつわりの ごういて

まま かないで ちてゆく

かたくなせま蛇心じゃしん嬌笑きょうしょう あらが鰾膠にべ
戯言けごんちぎりを 片腹痛かたはらいたしと 足蹴あしげにすれども 無駄むだ

嗚呼ああ せめて ただ 一言ひとこと其方恋そなたこいし」と かせて
うそでも いつわりでも どうか そばさせて

ああ 逢瀬おうせ かさがさうるこころ さらがる
ああ 逢瀬おうせ かさがさこおこころ さらめてゆく

める 夏霞なつがすみ あこがれは あわゆる

めどなく ながつるは いのなみだ 貴方あなたしんじて

野辺のべはなにさえ あわれびを けように
ひとでなく 畜生ちくしょうみちただ いずれば
いもせぬわ」 と

あまりとえば あまりなぐさ

にくただれる 残酷ざんこくあめ くちなわごくなか
きてかえさぬ ほねのこさぬ つみいて

今更いまさら ばないで もうじき らくになる

いとしい ひとあやめた あがないいの あめ
まないあめあつめた たぎまか