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いつかれられるようにと ぼくたちにそなえられた わすれるという機能きのう
てないくらいつら出来事できごとしにはしまえずに
わすれなきゃきてもいけない かなしい 万物霊長ばんぶつれいちょう

昨日食きのうたべたものなんて 何一なにひとおぼえてない
そもそもべたかさえ もう記憶きおくいし
適当てきとうってのもわるくはないぜ

だってそうだろ? 細胞さいぼう構造こうぞうまか単純たんじゅんこころにないわけじゃないんだよ

いつかれられるようにと ぼくたちにそなえられた わすれるという機能きのう
時々ときどき わすれちゃいけないことまでわすれるのに
どうしてそんなに さびしそうなかおして
あいつがわすれられないと なげきみ横顔よこがおは いつもより綺麗きれいだよ
むしろわすれたくはないとおもってきる毎日まいにちると
だれみんな かなしみとってきていくんだろう

あのっていたころおも何一なにひとおぼえてない
そもそもどこにれてたかも もう記憶きおくにないし
こころないわけじゃないけど 便利べんり機能きのうりかかってる

いつかれられるようにと ぼくたちにそなえられた わすれるという機能きのう
時々ときどき わすれちゃいけないことまでわすれるのに
どうしてそんなに むずかしいかおをして
なにえられないとづいてあきらめたくやしさが いま奥歯おくばはさまる
一人ひとりたりらして むまでかして
そうやって くやしさと上手うまって でっかくなれよ

まれながらあたえられたこの機能きのうときとして残酷ざんこくおもえる
わすれるくらいなら つらいままでいいとおもえることも
かなしいおもかなしいままでいいのに

「あなたは長生ながいきしてね」
最後さいごのこしていった あのひとやさしい寝顔ねがお
がれないくらい かなしい出来事できごとだったのに
らくになっていく自分じぶん大嫌だいきらいだ

わすれていかないと きていくことも出来できない かなしいもの
おもじゃきていけないし ぼくらにもかぎりはあるし
それでいいんだよ これでいいんだよな 刹那せつなきる万物霊長ばんぶつれいちょう