背中せなかに耳みみをあてて聴きいた
とんぼの唄うたが心地ここちよくて

近所きんじょの木きに咲さくモクレンの花はな
見上みあげている僕ぼくと婆ばあや

擦すり傷きず ゴシゴシ 水みずで洗あらわれ
半泣はんなき 状態じょうたいでいた僕ぼく
涙なみだと鼻水はなみずが ブレンドしてた
しわくちゃな 笑えみ浮うかべ
やさしく 拭ふいてくれた

オレンジ色いろに 染そまりだす
まるい背中せなかに おぶわれて
おもちゃの夢ゆめを 見みていたよ
夏なつの終おわりの 帰かえり道みち

江えノ島しまの 展望てんぼうレストラン
海うみの匂においとさざえの味あじ
ガラス窓まどにおでこをつけて見みてた
水平線すいへいせんに飛とぶ カモメ

帰かえりたくない僕ぼくを 引ひっ張ぱって
改札かいさつを抜ぬけ 電車でんしゃに乗のる
仕事しごとを終おえた 背広せびろのおじさんたち
窓まどの外そとを見みたくて僕ぼくは 背伸せのびしてた

オレンジ色いろがこぼれてる
ビルの隙間すきまや木きのあいだ
オレンジ色いろの 夕焼ゆうやけが
今いまも焼やきつく 帰かえり道みち