夕立ゆうだちやんで土つちの匂におい
水溜みずたまりをひとつ飛とび越こえる
子供こどもらの声こえは遠とおくても
雨上あめあがりの空気くうきにはよく響ひびく

あぁ 風かぜも少すこし涼すずしくなってきた

あのくらいの頃僕ころぼくは息いきを切きらして
雲くもも追おい越こそうとしていた
自分じぶんの非力ひりきさも広ひろい世界せかいも知しらなかったから

そういえば今日きょうは一言ひとことも声こえを出だしてないことに気きづいて
急きゅうに不安ふあんになって僕ぼくはなんとなしに声こえを出だしてみる

あー

ちゃんと声こえは出でた
ほっとした
ばかみたいだ

切きれる息いきの音おとや
心臓しんぞうの音おとや
吹ふきぬく風かぜや
べたつく肌はだや
ふたりでそっと
胸むねに誓ちかった未来みらいのことや
傷きずつけたことや
傷きずついたことや
耳みみを塞ふさいだあの日ひのことや
忘わすれたはずの色いろんなことを急きゅうに僕ぼくは
僕ぼくは思おもい出だした