とりわけ僕ぼくには取とり柄えなど 無ないように見みえるだろうけれど
本当ほんとうにそうだよ
力ちからも金かねも甲斐性かいしょうもなし 頭あたまの中なかはマンガの話はなし
それしかないかも

干上ひあがった脳のうみその奥おくの奥おくへと
降ふりだした雨あめよ左ひだりから右みぎへと 逃にげ込こんで

いっちょ前まえにスーツでめかしこんで 張はり切きった分ぶんだけ犯人面はんにんづらで
本当ほんとうにどうしよう
太陽たいようは僕ぼくを照てらすけれど 風かぜが背中せなかを押おしてるけれど
期待きたいしないでよ

振ふり切きったメーターを手てで止とめろ
緩ゆるみ切きったそのネジを締しめろ

不可思議ふかしぎな魔法まほうだ 体からだごと繰くり出だせ
いつまでも僕ぼくらはこの歌うたをずっと
いずれまた誓ちかいは その綱つなを渡わたって フラつきながら
飛とび込こんでいく 飲のみ込こんでいく

踏ふみ出だしたその一歩いっぽは 吹ふき消けしたローソクの火ひを
再ふたたび灯ともすための記録きろく(レコード)

塞ふさがった耳みみに穴あなを開あけろ
絡からまったロープをナイフで解とけよ
すり減へった足あしにムチを打うてよ
備そなわった種たねに水みずをまけよ

不可思議ふかしぎな魔法まほうだ 暗闇くらやみをブチ抜ぬけ
いつまでも僕ぼくらはこの歌うたとずっと
そしてまた 誰だれかがこの歌うたを唄うたって いざ彼方かなたへと
飛とび込こんでいけ 飲のみ込こんでいけ

部屋へやの明あかりもつけずに やめたはずの煙草たばこを
燻くすらせ針はりを落おとすレコード