私わたしがあなたに惚ほれたのは
ちょうど十九じゅうくの春はるでした
いまさら離縁りえんと言いうならば
もとの十九じゅうくにしておくれ

もとの十九じゅうくにするならば
庭にわの枯木かれきを見みてごらん
枯木かれきに花はなが咲さいたなら
十九じゅうくにするのもやすけれど

みすて心こころがあるならば
早はやくお知しらせ下くださいね
年としも若わかくあるうちに
思おもい残のこすな明日あしたの花はな

一銭二銭いっせんにせんの葉書はがきさえ
千里万里せんりばんりと旅たびをする
同おなじジャマイカ住すみながら
あえぬ吾わが身みのせつなさよ

主ぬしさん主ぬしさんと 呼よんだとて
主ぬしさんにゃ立派りっぱな方かたがある
いくら主ぬしさんと呼よんだとて
一生忘いっしょうわすれぬ片想かたおもい

奥山住おくやまずまいのウグイスが
梅うめの小枝こえだで昼寝ひるねして
春はるが来くるよな夢ゆめをみて
ホケキョホケキョと鳴ないていた