ペンを持もたずに 生いきる君きみから 知恵ちえを絞しぼった手紙届てがみとどきました
白しろい便箋びんせん 君きみの汚きたない やけに細ほそい字じ 誤字脱字ごじだつじだらけさ

ちょうど夜中三時よなかさんじごろ 見みていた夢ゆめの中なかでも
君きみはタバコの煙けむり 僕ぼくに吐はきかけ言いった

まだ嘘うそをつくのか 飛とび跳はねやしないのか
とびきり良よい話はなし まだかまだか

隙間すきま 空からっ風かぜ 埃ほこりはたいて 身みから出でたサビ より浮うき上あがらせた
曲まがり道路どうろで 出会であう野良犬のらいぬ その目虚めうつろで 目めを逸そらし歩あるいた

したたかさをまとった 君きみには解わかるまいと
距離きょりをはかった僕ぼくに もう構かまわないでくれ

また嘘うそをつくのさ ぐるぐるに巻まきつけて
これこそ本望ほんもうと 言いい切きれるさ 言いい切きるのさ 嘘うそじゃないさ

硬かたくく縮ちぢんで底そこなしの沼ぬまに誘さそわれ沈しずむ
明あけても暮くれても 暗くらく 狭せまい

まだ嘘うそをつくのか 一人ひとりきりの朝食ちょうしょくすら
寂さびしく感かんじてる おかしな部屋へや

向むかいの公園こうえんに 咲さいたツツジの花はなを
テーブルに飾かざったら 後あとは君きみを 部屋へやに招まねき 待まつよ待まつよ