茜アカネさす君きみの移うつろひゆく影かげを求もとめ(求もとめて)
うち靡ナビく黒髪くろかみ かすかな残のこり香探がさがして(探さがして)

切せつなき記憶辿きおくタドる桃色ももいろの夢ゆめ(月つきに薫かおる桃ももの香かおり)
涙なみだの瞳ひとみ 理由ワケも知しらずに(生いきる理由わけも知しらず)
時ときは紙吹雪カミフブキ(時ときは紙吹雪かみふぶき)
散ちりゆきて風かぜの音おとになる(腕うでの中なかで音おとになる)

久方ヒサカタの雨あめは燎原リョウゲンの炎ほのおを濡ぬらし(濡ぬらして)
小波サザナミの妖あやしき憩いこひの欠片カケラを掻かき消けす(掻かき消けす)
恋こいは土深つちふかく静しずけく朽クち果ハてる

手てのひらからこぼれる月草ツキクサの色いろ(風かぜに揺ゆれる月つきの夜よる)
消きえゆく先さきは星ほしも見みえずに(光ひかる星ほしも見みえず)
時ときは夢ゆめおぼろ(時ときは夢ゆめおぼろ)
あはひに沈しずみて見失みうしなふ(腕うでの中なかで見失みうしなふ)

群肝ムラギモの心こころは幾千イクセンの波なみを重かさね(重かさねて)
うつせみの命いのちに小ちいさき花はなびら揺ゆらして(揺ゆらして)
水みずは降ふりしきり夜よるは凍イて緩ユルむ

玉たまかぎるはろかな光ひかり 行ユく末すえを照てらし(照てらして)
うばたまの闇切やみきり裂さく言コトの葉ハさへ降ふり敷しく(降ふり敷しく)
愛あいは宙果ソラはてる朝アシタによみがへる