新宿区しんじゅくくへ向むかう道みちの途中とちゅうでぶっ倒たおれたまま朝あさになった
街道かいどう 夏草なつくさのにおい
白線はくせんの果はての
オシャカんなったビーチサンダルを捨すてた
起おき抜ぬけのビルの群むれは
いつか飲のみ干ほせなかったコーラの瓶びんの色いろ

エレファント
名前なまえがないと困こまるだろう
いつかひとりでくたばるとしても
新宿区しんじゅくくへ向むかう道みちの途中とちゅうで見みつけた白しろい花はなをお前まえに食くわせたかった

目めを覚さますと何なにもかも夢ゆめで
つけっぱなしのテレビのニュース
どこかで何なにかの花はなが咲さいたということです
船ふねが沈しずみ たくさん死しんだということです
でもそんなことは今いまどうでもよくって
部屋へやに溢あふれ出だした水色みずいろ
あの人ひとが飲のみ捨すてたままのコーラの瓶びんの色いろ

エレファント
本当ほんとうは
新宿区しんじゅくくへ向むかう
道みちの途中とちゅうで
君きみに会あいたかった

雪空ゆきぞらの中なかを真まっ黒くろいカラスが飛とぶ
屋上おくじょうの上うえに一頭いっとうの悲かなしい象ぞうがいる
お前まえのさ
背中せなかのさ
緑みどりっぽい水色みずいろの孤独こどくで
悪わるいけどさ
爪つめを研とがせてもらうよ

ところでさっき捨すてたサンダルは
冬ふゆの間あいだ 川かわを下くだった
やがて流ながれ着ついた渚なぎさはコーラの瓶びんの色いろ

新宿区しんじゅくくへ向むかう道みちの途中とちゅうでぶっ倒たおれたまま朝あさになった
そうだ 道みちの途中とちゅうだった
何なにもかも 途中とちゅうだった