ゆずり葉はが 散ちってゆく
おだやかな 春はるの陽射ひざしに

青あおいまま 青あおいまま
微笑ほほえむようにして 散ちってゆく

幼おさない私わたしには怖こわくて
母ははの背中せなかにしがみついた

あの日ひあなたは泣ないてた
とても静しずかに泣ないてた
あれは命いのちのことづて
今いまなら分わかるの
ゆずり葉はは散ちり続つづける
はら はら ひら

ゆずり葉はが 散ちっている
あの春はると 同おなじ陽射ひざしに

黒くろい服ふく 白しろい箱はこ
軽かるくて、軽過かるすぎて歩あるけない

あなたの愛あいが重おもた過すぎて
はねつけた言葉ことばが戻もどった

そして私わたしも泣ないてた
とても静しずかに泣ないてた
これは命いのちのことづて
あなたに会あいたい
ゆずり葉はよ散ちり続つづけて
はら はら ひら

そしてふたりは泣ないてた
時ときを挟はさんで泣ないてた
遺のこせるものは愛あいだけ
なんて不器用ぶきような

散ちるように手てを離はなした
頷うなずきながら微笑わらった
あれは最期さいごのことづて
今いまなら分わかるの
ゆずり葉はよ散ちり続つづけて
母娘ははこの 空そらへ

私わたしもいつか
はら はら ひら