煙けむる空そら 融とける雲くも
私わたしの目めに流ながれ込こむ
口移くちうつしで奪うばった恋こい
唾吐つばはいて捨すてようか

朱あかい月つき 淡あわい焔ほのお
蝋燭ろうそくが映うつした影かげは
見知みしらぬ他人ひとの眠ねむりにでも
食くわれちまったかもね

嫌いやらしいくらい
欲ほしい欲ほしいものは
手てに入はいらない
なお焦こがれるために

ねえ苦くるしみの
皮かわを剥はいだなら
見みえると思おもった?
希望きぼうの骨ほねの欠片かけら

緊縛きんばくの結むすび目めは
安手品やすてじなの様ように緩ゆるく
辛つらいのなら逃にげたいなら
あなたはどこでも行ゆける

イカレそうなほど
逢あいたい逢あいたいなんて
一生いっしょうにどんだけ
思おもえるものかしら

消きえるよりも
憎にくまれ憎にくまれよう
綺麗きれいな花はなより
腐くさった花はなを抱だこう

ああ本当ほんとうに
欲ほしい欲ほしい人ひとは
手てに入はいらない
なお焦こがれるために

ねえ苦くるしみの
皮かわを剥はいだなら
見みえると思おもった?
希望きぼうの骨ほねの欠片かけら
絶望ぜつぼうの夢ゆめの欠片かけら