雷いかずちを制せいす者もの
世界せかいを統すべる王おうと成なる

【アルカディア第一王子:Λεωντιυｓ】

野やを朱あかく染そめながら 黄昏たそがれは 世界せかいを誘いざない
刃はを緋あかく染そめながら 我々われわれは 生命いのちを誘いざなう
夕闇ゆうやみへ 冥闇くらやみへ

生いける者ものにとって必要ひつようなものは 死しせる者ものにとって不要ふようなものばかり
何なにが欲ほしいのだ 屍しかばねと成なってまで 握にぎりしめた手てに 何なにも掴つかめぬまま
夕闇ゆうやみへ 冥闇くらやみへ

東方アナトリアでは 異民族バルバロイの侵攻しんこう 苛烈かれつで
風の都イーリオンは今いま 難攻不落なんこうふらくの城壁じょうへきを 築きづいているという

同胞同士ヘレーネスどうしが 争あらそう傍そばで 時代じだいは確たしかに疾はしり始はじめている
神託しんたくを疑うたがえば 立たてる大地だいちが揺ゆらぐ 解釈かいしゃくの自由じゆうが故ゆえ 諸王しょおうは悩なやむのだ

「青あおき銅どうよりも強したたかな 鉄てつを鎧よろう獣けものが
風かぜの楯たてをも喰くい破やぶり 流ながる星ほしを背せに 運命かみに牙きばを剥むく」

太陽ヘリオス 闇エレボス 蝕むしばまれし日ひ
生うまれ堕おつる者もの 破滅はめつを紡つむぐ