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【高級遊女:ΚασσανδραとΜελλισαと其の見習い】

女蛮族アマゾンのような腕力わんりょくはないけれど
げいのないただ売女ボルネとはちがうわ

嗚呼ああ...花代ドラクマ真心まごころえにうるわしのゆめる...

敬愛する詩人ソフィアのような教養きょうようはないけれど
がくのないただ街娼デミエとはちがうわ

嗚呼ああ...元々哀もともとかなしき奴隷どれいとはいえ
いまほこ薔薇ばら高級遊女ヘタイラ

花開はなひら風薫かぜかおはるひさ以外いがい
身寄みよりなきむすめにはなにもないけれど
あわれみならばらないわ...馬鹿ばかにしないで...
アナタのれはあいじゃない!

壁石いしはこもの かわいたたれ
医師いしさけもの してむなしく

奴隷達の多くは背後に黒き影を纏っていた...

遺志いしげるもの 奴隷どれい数多あまた
縊死いっしげるもの 冥府めいふへの逃避行とうひこう

その影は他の者には視えていないようだったが
少年は何時からかその存在に気付いていた...そして――
その影を纏いし者はそう遠くない内に確実に死んでいったのである……

あいいつくしみだけに かれそだった少年しょうねん
いかりとにくしみだけを いていましの

いっそんだらラクだなんて きっといまよりマシだなんて
った譫言繰うわごとくかえして った希望きぼうすがった

そんないぬのように 運命ミラらされはしない
たとえ奴隷どれいいぬであれ
くべききばわすれない

オオカミははしまえ満月まんげつえる

ひとだれもが すべき運命さだめ背負せお
まま...いてかれて さみしさをあいめる
されど彼等かれらおおくは すべき運命さだめのろ
まま...うばうばわれ むなしさでむねたす

少女しょうじょほほつたわる けがれなきしずく
赤黒あかぐろ舌先したさきすくいかけた刹那せつな

つないだ ける風の都イーリオン
そそ星屑ほしくず 夕闇よいやみ風の都イーリオン
なげきと城壁じょうへき そびたつ風の都イーリオン
かえ背後はいご遠離とおざか風の都イーリオン

神域を穢した者を 風神は決して赦さない
その怒りは 雨女神と交わり 娘を生むだろう……