あなたが寝ねていた場所ばしょに
月つきの光ひかりが 墜おちる

残のこった夜よるをわたしは
哀かなしむために 生いきる

さなぎのまま
眠ねむった蝶ちょうみたい
この想おもいは
翔とび立たつ明日あすを持もたずに

果敢はかない約束やくそくは
いらないから
そっとまぶたに口くちづけて
これからひとり見みる
夢ゆめの数々かずかずが
ああせめてやさしく
訪おとずれるよう願ねがって

降ふりつもった雪深ゆきふかく
埋うもれて春はるを 待まつの

冷つめたくなったわたしを
抱だいてあなたは 泣なくの

枝えだを鳴ならす
激はげしい木枯こがらしよ
恋こいの炎ほのお 凍こおらせ
粉々こなごなにして

きれいな思おもい出でを
あげたいのに
我わが侭ままなわたしを許ゆるして
あなたを包つつみ込こむ
愛あいの衣衣きぬぎぬを
重かさねて いつまでも
ほどけないのよ
この手てを

儚はかない幸しあわせが
消きえぬうちに
そっとまぶたに口くちづけて
これからひとり見みる
時ときの移うつろいが
ああどうか
矢やとなって
過すぎ去さるように祈いのるの