闇やみのマントをお脱ぬぎあそばせ
今宵こよいは月光劇場げっこうげきじょうの幕まくが開あく
お代だいはほんのひとひら
その心こころ

バルコニーで舞まう扇おうぎの翼つばさ
魔王まおうも天使てんしも天井画てんじょうがから墜おち
ルーベンスの空そらの下したで
ゴシックにオペラを

弦げんと歌うたを奏かなでましょう
吐息といきと言葉ことばを重かさね
あなたの恋こいを音符おんぷで
包くるんでは放ほうり込こむリラの唇くちびる
羽化うかする甘あまい蝶々ちょうちょう
口移くちうつしで歌うたうわ

喝采浴かっさいあびて私わたしはDiva
帽子ぼうしに結むすんだリボンを蝙蝠こうもりに
桃兎ももうさぎは異次元いじげんへ
妖あやしいサーカス

何なにをご覧らんにいれましょう
客人きゃくじんは言ゆう 恐怖きょうふを!と
退屈たいくつの檻おりを放はなち
撓しなる鞭振むちふり上あげ猛獣使もうじゅうつかい
誰だれにも飼かい慣ならせる
この世よの事ことはすべて

人生じんせいのような
舞台ぶたいは悲喜劇ひきげき

どんな役やくも演えんじましょう
星ほしの転ころがる科白せりふで
みんながお腹なかを抱かかえ
泣なくくらい笑わらえる幸福こうふくを

お望のぞみのカーテンコール
あなたに囁ささやく 愛あいをと
見みたものは一人ひとりもない
麗うるわしい姿すがたを着飾きかざりたいの

それには薔薇ばらの束たばと
やさしい腕うでが必要ひつよう