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木造もくぞうアパートの一階いっかいかれ夢中むちゅういていた
えがきたかったのは自分じぶんこと 自分じぶん世界せかいのこと

ちいさなころからきだった 理由りゆうみんなめてくれるから
でもいまじゃめてくれるのは 一緒いっしょらしている彼女かのじょだけ

でもかれはそれでしあわせだった すれちがいの毎日まいにちだけど
彼女かのじょはいつもの置手紙おきてがみ 桜模様さくらもよう便箋びんせんいとしい

づいたらよるけていた づいたられていた
づいたらふゆわってた その日初ひはじめてれた

状況じょうきょうはすでにわりはじめてた つぎつきにはかれすべれた
わってくのは いつも風景ふうけい

だれもがかれたたえてくれた 彼女かのじょうれしそうにかれにこうった
しんじてたこと ただしかった」

ってくれた人達ひとたちから 時々感謝ときどきかんしゃ手紙てがみもらった
感謝かんしゃされるおぼえもないが いやがするわけもない

ちいさな部屋へやすこしずつえる 宝物たからものかれうれしかった
いつまでもこんな状況じょうきょうつづいてくれたらいいとおもった

かれはますますきになった もっと素晴すばらしいきたい
えがきたいのは自分じぶんこと もっとふか本当ほんとうこと

最高傑作さいこうけっさく出来でき彼女かのじょ素敵すてきねとわらった
だれもがをそむけるようひとのあさましい本性ほんしょう

だれもがかれまゆをひそめた まるでしおくように人々ひとびとった
わってくのは いつも風景ふうけい
人々ひとびとかれ無能むのうだとあざけ喧嘩けんかえた二人ふたりもやがてわかれた
しんじてたこと 間違まちがってたかな

木造もくぞうアパートの一階いっかいかれいまでもいている
えがきたかったのは自分じぶんこと 結局空けっきょくからっぽなぼくこと

ちいさなころからきだった 理由りゆういまじゃもうからないよ めてくれるひとはもうない
えるにもう名前なまえなどない

気付きづけばどれくらい月日つきひぎたろう その日久々ひひさびさ一枚いちまいれた
わってくのは いつも風景ふうけい
その買主かいぬしから手紙てがみとどいた 桜模様さくらもよう便箋びんせんにただ一言ひとこと
しんじてたこと ただしかった」