私わたしは『誰だれ』なのか? 記述きじゅつが抜ぬけ落おちた 真まっ白しろな其その頁かみを 宵闇よいやみが染そめてゆく
気付きづけば井戸いどの底そこ 空そらを見上みあげていた 抱だいていた可愛かわいい少女メートヒェン 口くちを開ひらいた

「復讐ふくしゅうシヨウ」と 彼女かのじょが囁ささやく その声色こわいろは 何処どこか懐なつかしく
何なんの為ためかなんて 誰だれの為ためかなんて 憶おもい出だせぬ儘まま 衝動しょうどうに従したがった

苦痛くつうに歪ゆがむ顔かお 悲痛ひつうに喚わめく声こえ 戦慄せんりつと後悔こうかいの中なかで

嗚呼ああ 復讐ふくしゅうは罪つみが故ゆえに 粛々しゅくしゅくと受うけ入いれ給たまえ 嘆なげいた処ところでもう手遅ておくれさ
遂ついに モリから イドへ至いたる 喜劇きげきの幕まくは上あがった

七人しちにんの女優達よシャオシュピーレリンネン!

死しせる今いま 幾いくら憾うらめど 刻ときは既すでに遅おそく
お嬢さんフロイライン 君は独りドゥビストアライン 夜よるの旅路たびじ 彷徨さまよう屍体したい
偶然ぐうぜんに出逢であった物語ロマン 嗚呼ああ 此これも運命うんめい
小さな口ムンテライン 七の苦痛ズィーベンパイン 忘わすれぬ間まに紡つむぎなさい さぁ－－

墓場はかばから始はじまる 七ななつの童話メアヒェン イドの底そこに潜ひそむ 矛盾むじゅんの罠わな
物語ものがたりの策者さくしゃは 作為的さくいてきな嘘うそで 錯落さくらくなる幻想げんそうを紡つむぐ

光ひかりと闇やみが織おり成なす世界モザイクの中なかに 愛あいと憎悪ぞうおが溢あふれる

誰だれかをかつて愛あいしたような気きがした
憎にくしみの焔ほのおは揺ゆれ躍おどる
誰だれかに愛あいされたような気きもした……

↑ 嗚呼ああ でもそれは気きのせいよ ↑

キミが誰だれかを怨うらむなら その復讐ふくしゅうに手てを貸かそう!

愛いとシイ腕うでニ抱いだカレテ目醒めざメタ... モリヘ至いたル井戸いどノ中なかデ...
私わたしハ殺意さついヲ唄うたウオ人形にんぎょう... イドヘ至いたル森もりノ中なかデ...
錏痾蛙遭嗟有合或吾会在唖逢娃婀堊ああああああああああああああああ... モリヘ至いたル井戸いどノ中なかデ...
宵闇よいやみニ踊おどル深紅あかト漆黒くろノ影かげ... イドヘ至いたル森もりノ中なかデ...

人ひとヲ殺あやメテ...未来奪みらいうばッタ...
奴やつガ裁さばカレズ...生いキ延のビルナド...赦ゆるシハシナイ

月光げっこうに照てらされて 凶行きょうこうへ羽はばたいた 旋律せんりつが絡からみ合あう夜よるに

嗚呼ああ 復讐ふくしゅうは罪つみが故ゆえに 粛々しゅくしゅくと受うけ入いれ給たまえ 嘆なげいたところでもう手遅ておくれさ
終ついに 宵闇よいやみの此この楽団らくだんで 憾うらみを唄うたいたいなら

屍揮者しきしゃは君きみの味方みかたさ!

消きえる影かげ 腕うでを伸のばせど 闇やみは既すでに深ふかく
お嬢さんフロイライン 君の輝きダインシャイン 在ありし日々ひびは 過去かこの残照ひかり
生前せいぜんに夢見ゆめみた楽園エデン 嗚呼ああ 然されど忘却ぼうきゃく
小さな川バシュライン 緋い葡萄酒ロットバイン 乾かわかぬ間まに紡つむぎなさい さぁ－－
死しの歴史れきしを!