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鈍色にびいろ足取あしど決意けついすすめる
背中せなかかぜかんじて 一度いちどだけかえ

宵闇よいやみにおいは 不思議ふしぎなつかしく
背中せなかしてくれる そう そんなさえしたわ

せる かなしみに ひとふるえて ゆびでなぞる はるとお約束やくそく
がる にくしみの もろいびつときてに やみつめ接吻くちづけ
(嗚呼ああ うつろなまま うつろうまま いびつ嗚呼ああ つみあつ接吻くちづけ)

いま でも わすれ られない……
(いま なお おもいだせない……)

あいいつわってきるくらいなら
真実しんじつともすこともいとわないわ

二人ふたりつけたばらが
きみつつむことをねがって墓標ぼひょうまわりにえたけど
結局けっきょく ついついまでことはなかったね……

月光げっこうこいをした鳥籠とりかごしろとりは、
ちるとりながら、最期さいごまでばたくよ。
だからこそ宵闇よいやみうたうのは、うらみのうたじゃないわ……。

ひかりくしたきみしばつめたいくさり
ひかりくした きみおも二人ふたり愛憎あいぞう

とりそら屍体したいつち摂理かみ裏切うらぎつづけた
よるけて わりのあさつぎ別離わかれこそ永遠えいえん--

でも...

後悔こうかいなどしていないわ 嗚呼ああ これが わたし人生じんせい
<<門閥貴族の令嬢フォンベッティン>> でも <<七選帝候の息女フォンザクセン>> でもないわ わたしは<<一人の女エリーザベート>>
ただ きみだけをあいした--

ただの【Elisabeth】