古都ことを見下みおろして長谷はせへと下くだる
旅路切通たびじきりとおしよ

そこに行いき交かう
“今生いまいきる”も“今いまは亡なき”人ひとも

遥はるかな時代ときを夢見ゆめみて越こえて
訪おとずれる砦とりで

あてなく彷徨さまよう想おもいが
私わたしをこの地ちへ誘いざなう
古いにしえの風吹かぜふく杜もりへ
黄昏時たそがれどきは切せつなさに
光ひかりと影かげとが寄より添そう
そんな街まちとは
時間ときが止とまった浪漫ろまんの舞台ぶたい

波寄なみよせるは由比ゆいの浜辺はまべに
遠とおく蝉せみしぐれ

瞳めを閉とじれば 君きみよ恋こいしや
また逢あえる日ひまで

夕日ゆうひを浴あびた電車でんしゃの窓まどに
江ノ島えのしまが見みえる

ざわめく木立こだちに隠かくれた
不思議ふしぎな気配けはいに戸惑とまどう
この街まちに降おり立たつ日ひから
古刹おてらの鐘鳴かねなる谷戸やどから
海うみへと続つづく小路こみちを
“人ひと”は素通すどおりで
“魔性ましょう”が跋扈ばっこするのを
君きみは見みるだろうか?

あてなく彷徨さまよう想おもいが
帰かえらぬ人ひとをも誘いざなう
古いにしえの風吹かぜふく杜もりへ
祭まつりのあとの切せつなさに
光ひかりと影かげとが寄より添そう
そんな街まちとは
矢羽放やばねはなった戦いくさの舞台ぶたい