わたしは猫ねこです 名前なまえはありません
先生せんせいに拾ひろわれた 捨すて猫ねこ
先生せんせいは作家さっかなの 有名ゆうめいな作家さっかなの
だけど悩なやんでるの いつも 飛とんでるの

わたし猫ねこだけど スカートが履はきたいの
恋人こいびとになりたいの お願ねがい
先生せんせいは詐欺師さぎしなの 手紙書てがみかく詐欺師さぎしなの
だけどほんとの 気持きもちは 口くちに出だせないの

書かいても消けしても恋こい 恋こいしか書かけない
書かいても消けしても恋こい 恋こいしか嘘うそしか書かけなくて

「新あたらしい時代じだいだ」「新あたらしい芸術げいじゅつだ」
〆切しめきりさ 何なにもかも 変かわれない
僕ぼくらくりかえすだけ 思おもい出でと思おもいこみ
だけど書かかれた 過去かこは 息いきの根止ねとめるだろう

書かいても消けしても恋こい 恋こいしか書かけない
書かいても消けしても恋こい 恋こいでも嘘うそでも
嘘うそじゃない恋こいとしても

ひとりぼっちのベッドで 羊ひつじをめぐる冒険ぼうけん
君きみがくれた孤独こどく 僕ぼくにくれた孤独こどく
ひとりぼっちの指先ゆびさき めくるめく涙なみだの谷たに
百年ひゃくねんもの孤独こどく 君きみにあげる僕ぼくの孤独こどく

書かいても消けしても恋こい 恋こいしか書かけない
書かいても消けしても恋こい 恋こいしか書かけない

(書かれた物語へつづく)