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つぶされそうなひとごみ
見失みうしないそうで不安ふあんになるけど

足早あしばやあるくあなたの背中せなか
いかけることが精一杯せいいっぱい

キラキラひかそら がる歓声かんせい
ふとれた右手みぎてあつくなってく

夜空よぞらかぶ残像ざんぞうねがいをめた花火はなび
はかなげなそのひかりいのるように見上みあげた
だれにもこえぬこえつぶやいた「えないで」
そっと、あなたとかさねた場所ばしょ宿やどひかり

着慣きなれない浴衣姿ゆかたすがた
つないだままのこの右手みぎて

いつもよりちかいふたりの距離きょり
ずかしくなってうつむいていた

ヒラヒラ はな えてゆく閃光せんこう
とどくようながしてばすけど

ゆめえがいた一瞬いっしゅんらししてよ花火はなび
つないだあなたのその手見失てみうしなわないように
だれにもこえぬこえつぶやいた「えないで」
そっと、ふたりがごす未来みらいそそはなびら

夜空よぞらかぶ残像ざんぞうねがいをめた花火はなび
はかなげなそのひかりいのるように見上みあげた
だれにもこえぬこえつぶやいた「えないで」
ぎゅっと、ほどけそうになったにぎりしめた

あなたがくれた一瞬いっしゅんむねけて花火はなび
けっしてわすれることなどできないようにと
あなたにこえるようにささやいた「はなさないで」
ずっと、かがやつづけるひかり ふたりだけの花火はなび