花匂はなにおう刹那せつな
一夜いちやを限かぎり この夢ゆめに酔よい痴しれ
春はるの世よを謳歌うたえ
月つきは果敢はかなく 夜天そらを翔かけて
過すぎゆく
時代ときは徒いたづらに

栄華えいがと闇夜やみよの間はざかいに 運命綾さだめあやなし
艶あでやかに花はなは咲さき乱みだれて

夜鳥啼交とりかわす刹那せつな
一会いちえを限かぎり この美酒びしゅに酔よい痴しれ
楽がくの音ねに踊おどれ
紗うすぎぬの闇やみ 踏ふみ惑まどいて
耀かがよう
闇やみは徒いたづらに

揺ゆらめく燭炎ほのおの陰翳かげさして
紅霞くれないかすむ 密ひそやかに花はなは散ちり初そめて

月満つきみつる刹那せつな
一夜いちよを限かぎり この虚構うそに酔よい痴しれ
常とこの夜よに狂くるえ
遊蛾果敢ゆうがはかなく 燃もえて尽つきて

風馨かぜかおる刹那せつな
一期いちごを限かぎり この恋こいに酔よい痴しれ
春はるの夜よに眠ねむれ
薄紅うすべにの雪ゆき 降ふり注そそいで
彩いろどる
罪つみは徒いたづらに