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吊つり下さがる葡萄ぶどうの一粒一粒ひとつぶひとつぶに霊験れいげん。
睡蓮すいれんがひとつ、ひとつ、ひとつ、ひとつ----。
彼かれの白しろい背せに憑つきし焔ほのおは憧あくがり自みずからを焼やく。
紛まがい沈しずんで腕うでに噛かみ付つく、忌忌ゆゆし面つら。
小指こゆびを結むすんで契ちぎる姿すがたはおとろしい罪つみ。
隙間すきまから覗のぞく女おんなは異あやし眼まなこで何なにを思おもう----。
番つがいの二人ふたりを見みつめ蝶ちょうと成なり消きえ昇のぼっていく姿すがたは、
藍色あいいろの雨あめが静しずかに降ふりしきる中なか。
千切ちぎれかけた羽はねで飛とぶのだろう----。
睡蓮すいれんがひとつ、ひとつ、ひとつ、ひとつ----。
彼かれの白しろい背せに憑つきし焔ほのおは憧あくがり自みずからを焼やく。
紛まがい沈しずんで腕うでに噛かみ付つく、忌忌ゆゆし面つら。
小指こゆびを結むすんで契ちぎる姿すがたはおとろしい罪つみ。
隙間すきまから覗のぞく女おんなは異あやし眼まなこで何なにを思おもう----。
番つがいの二人ふたりを見みつめ蝶ちょうと成なり消きえ昇のぼっていく姿すがたは、
藍色あいいろの雨あめが静しずかに降ふりしきる中なか。
千切ちぎれかけた羽はねで飛とぶのだろう----。