指先触ゆびさきふれた、ダイヤルに吸すい込こまれ。
言葉ことばささやく、イタズラに笑わらった。

口先くちさきだけの 留守電るすでんを聞きかされて、
頭抱あたまかかえた。僕ぼくの名なは神様かみさま。

人ひとの声こえ、聞きいてみた。
夢ゆめ、希望きぼう、愚痴ぐちを。

人ひとの声こえ、耳障みみざわり。
もう聞ききたくない。

僕ぼくの声こえ、届とどかない。
耐たえた、独ひとり、ずっと。

僕ぼくの声こえ、聞きく気きないのに、電話でんわは鳴なる。

愛想あいそうの尽つきた頷うなずきに、喜よろこんだ。
構想こうそうの果はてに、意味いみのない戯言ざれごと。

迷走めいそうの先さきに人ひとは立たつ。「わかってるの?」
創造そうぞうの為ために僕ぼくは聞きく、君きみの声こえ。

吐はき出だした言葉ことばの意味いみを分わかってない。
繰くり返かえす、希望きぼうの声こえは向むきを変かえた。

吐はき捨すてた言葉ことばは僕ぼくに放ほうり投なげた。
任まかせきり。君きみは、プツリと受話器置じゅわきおいた。

69億件分ろくじゅうきゅうおくけんぶんの留守電るすでんは、
僕ぼくの頭あたまをいつまでも悩なやます。
69億件分ろくじゅうきゅうおくけんぶんの留守電るすでんは、
僕ぼくの頭あたまでいつまでも鳴なり響ひびく。