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『あるしゅ生物せいぶつ瞬間しゅんかん
そのねむれる脳細胞のうさいぼう活性化かっせいか
その知能指数ちのうしすう数百倍すうひゃくばいがり
みずからに飛翔ひしょうする能力のうりょくがあることを
はじめておもすのだという
まああのむしなんですけど』

終業式しゅうぎょうしき したあの
西崎にしざきさん(仮・学園がくえんのアイドル)
場所ばしょ当然とうぜん 定番ていばん屋上おくじょう
古典的こてんてきおもいはお手紙てがみ

世界中せかいじゅう蔓延はびこるテロリズム
ぞんげずもうわけないです
こんなちゃちな学校がっこう屋上おくじょう
政治的ポリティカル価値かちがあったなんて

チャイムがった
その瞬間しゅんかん
起爆装置きばくそうちわらった

時限爆弾じげんばくだんんでいく
ぼくぼくのラブレター
「ずっとずっとまえからきでした」
爆風ばくふう中黒焦なかくろこげていく
きみきみへのラブレター
人生じんせい一度いちどこいでした
さよなら

人間にんげんのうはそのほとんどが
生涯眠しょうがいねむったままなのだという
むしにすら可能かのうなのであれば
人生じんせいはじめての告白こくはく
テロへの遭遇そうぐうという未曾有みぞう状況下じょうきょうか
ぼくのう爆発的進化ばくはつてきしんかげたとしても
なん不思議ふしぎではないのだ』

覚醒かくせいする潜在能力せんざいのうりょく
ときまる 世界せかい加速かそくする
思考しこうする速度そくど光速こうそく
じわりせま爆発ばくはつ衝撃波しょうげきは

現実げんじつには到達とうたつまでわずか一秒未満いちびょうみまん
どんな選択肢せんたくしが?
西崎にしざきさん(仮・運動うんどう苦手にがてだ)
屋上おくじょうには本当ほんとうなにもない

かくれる場所ばしょ
つからなくて
階段かいだんのドア?
とおすぎ。

時限爆弾じげんばくだんんでいく
ぼくきみ屋上おくじょう
フェンスかがやくスカイブルー
爆風ばくふう中伝なかつたえられるなら
こんなこんなラブソング
しあわせな最初さいしょこいでした」
さよなら

『このほしまれてから四十六億年よんじゅうろくおくねん
単純たんじゅんなアミノさん巨大きょだい蛋白質たんぱくしつとなり
そのくらむような連鎖れんさ
まれたのがぼくという存在そんざいなら
西崎にしざきさん(仮・ちょうかわいい)という運命うんめいまえにして
ただ宿命しゅくめい享受きょうじゅするなどということがあろうか』

いたいことまだえてなくて
こんなぼくじゃにきれないんだ
選択肢せんたくしつけてしまった
ギリギリまでもがいてみようか

チャイムがった
つぎ刹那せつな
きみ を か か え て
フ ェ ン ス を こ え た

そら

爆弾ばくだんんでいく
屋上おくじょうからきみ
りてちたプールのなか
爆風ばくふうなかほんのすこげた
ぼくきみ制服せいふく
ずぶきしめてさけんだ

きだよ」

『つりばし効果こうかというものがある
危機的状況下ききてきじょうきょうかにおいて出会であった男女だんじょ
たか確率かくりつこいにおちるというものだ
残念ざんねんながらその効果こうかにはひとそれぞれ
個人差こじんさがあるわけで
ぼく告白こくはくがどのような結果けっかわったかを
保障ほしょうするものではなかったといえる』