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きみまちかげすべらした時計塔とけいとううたぼくらのことを
真鍮しんちゅう歯車はぐるまじくがチクタクチクタクっている
それもいまじゃダサイ甲冑かっちゅうさかさのマンジがつど場所ばしょ
1万いちまん無慈悲むじひ革靴かわぐつがザクザクカツカツっている

明日あすふねはアメリカへ
きみだけでもげてくれ
(いやだよげない、あなたとここにいる)
きみ叔父おじ大学だいがくだってなんだってくしてくれるさ
(いやだよげない、わたし一緒いっしょだよ)

ふね汽笛きてき
ぼくらのあわこいわりをぼけてめつけても
ねえかないで
かわいたなみだあと辿たどってまたえるから

あれから数年すうねんたったけれど時計塔とけいとううたぼくらのことを
わらずに歯車はぐるまじくはチクタクチクタクっている
そしていまやダサい甲冑かっちゅうさかさのマンジはすすをかぶり
みにじりつかれた革靴かわぐつ足跡残あしあとのこしてえていく

明日あすふねきみせて
つのるこいはこんでくる
(はやくいたいよ、ちきれなくなって)
真夜中まよなか路地ろじけて時計塔とけいとうしの
螺旋階段らせんかいだんいそいであが

うみ見渡みわたして
朝焼あさやけのこうにちいさなかげえたがした
名前なまえんだ
潮風しおかぜにあてられたぼくらはだれよりもハイになっていく

時計塔とけいとうかね
時代じだいうつわるおとたからかにひびかせる
かないで
かわいたなみだあと辿たどってまたえるから