折おれた翼つばさは もう風かぜを切きることはなく
カラスは眠ねむる 暗くらい土つちの中なか
空そらに流ながれる 天てんの河がわの岸辺きしべで
今いまも二人ふたりは寄より添そってるかな

僕ぼくは忘わすれない

羽はばたいて 羽はばたいて
何処どこまでも 羽はばたいた
夜よるの向むこう また出会であえると信しんじて
今いまでも 歌うたは響ひびいている

この街まちには 二羽にわの老おいぼれガラスがいて
下手糞へたくそな歌うた 響ひびかせてたんだ
だけどある朝あさ 一羽いちわが動うごかなくなった
残のこされたのは 宵闇よいやみのアウグスティン

彼かれは飛とび立だった

この空そらの最果さいはて 青あおい流星りゅうせいを見みつけたら
願ねがいがひとつだけ叶かなうという
根拠こんきょのない迷信めいしんだ この街まちじゃもう100年ひゃくねん
誰だれも星ほしが降ふるのを見みてない
それでも彼かれは飛とび続つづけた

月つきさえ眠ねむる 静しずかな夜よるに
彼かれの羽音はおどは そっと途絶とだえた
それを見みていた 夜空よぞらは泣ないた
雲くもを穿うがつ涙なみだの雫しずく

そして僕ぼくは聴きいた
二人ふたりの歌声うたごえ

あの日ひからこの街まちの 夜よるはずっと深ふかくなって
空そらはいっそう輝かがやいて見みえるんだ
忘わすれない 忘わすれない
忘わすれない 忘わすれないよ
一年いちねんに一度いちどだけ降ふる星ほし

その名なは宵闇よいやみのアウグスティン
今いまでも 歌うたは響ひびいている