「もう幾いくつ寝ねると…」

さ乱みだれ染そめにし我われならなくに
滲にじむ朱宵あけよいは花一匁はないちもんめ

「然されども」

花はなや蝶ちょうやと舞まひし日ひを偲しのび
灯蛾とうがの群むれに逆夢さかゆめを浮うかべ

欺あざむキ欺あざむカレ泥濘でいねいノ冥くらキ澱おり
売女ばいたとなりて

狂くるひ咲ざきの匣庭はこで啼なきぬれど貴方あなたは薫くゆり
揺蕩たゆたひて溺おるれば紫煙舞しえんまふ芥子けしの華はな
淡あわき希望よろこびを今宵こよいも幾度いくどと繰くり返かえし
悟さとらば絶望まくけに…夢ゆめも現うつつもなき

欺あざむキ欺あざむカレ戒いましメハ常とこノ闇やみ
畜生ちくしょうに落おつ

後朝惜きぬぎぬおしむ暁七あけななツ今いまは朧霞おぼろかすみ
荒菰巻あらごもまき故ゆえの…手向たむけなき徒花あだばな