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温風おんかぜらぎきしほお
みだがみゆらぁり目隠めかく
糸車いとぐるまかたりかたりつむ途絶とだ
いてもいらえぬ手繰たぐぞら

気紛きまぐれの蛍此ほたることまれど
見知みしらぬかげへと灯篭揺とうろうゆらし

てどらせどひと唯只管ただひたすら
宵待草よいまちぐされでもいいと
所詮しょせん想詩そうし葬哀そうあい れでも

「…しあわせだったのに」

糜爛裂びらんさ石榴ざくろ 身腫みはらせど
泥濘ぬか執念しゅうねんねるはかわず

あなかなしき いとにくしや あなくやしき いとうらめし

いっ四肢ししもぎて りょう耳削みみそ
まなこしたちょんろか

あなかなしき いとにくしや あなくやしき いとうらめし
いとにくしや いとうらめし いとどにくき いとどうらめしや

よごれつちまつた悲哀かなしみうみおぼるる
てるのなら跡形あとかたきざんでよ
物云ものいわぬ紫煙しえんくゆりも…

てどらせどひと唯只管ただひたすら
宵待草よいまちぐされでもいいと
所詮しょせん想詩そうし葬哀そうあい 夢見ゆめみたるれの

温風おんかぜ頬撫ほほな殊更ことさらおあ濁月夜にごりつきよ
口惜くちおしさゆえ

おにこころ