今宵こよいもまたはじまる
仄明ほのあかりの舞台ぶたいで
歌うたう術すべを失なくした
小ちいさな 涙なみだのフェアリーテイル

森もりの隠かくれ里ざと
太陽たいようも見放みはなした
呼吸いきを止とめたような
妖精ようせいのすみか

騒さわぎ明あかす 宴うたげの日ひは
響ひびき渡わたるはずのメロディ
あの夜よるから 歌姫うたひめから
流ながれるのは ???（どうして）の雫しずく

踊おどる皆みなに囲かこまれ
仄明ほのあかりの舞台ぶたいで
「歌うたをどこで落おとしたのだろう」
音こえに鳴ならぬ声こえから涙なみだした

閉とじた 森もりの中なか
風かぜを纏まとう少年しょうねんと
少女しょうじょは迷まよい込こむ
導みちびかれるように

迎むかえ入いれた 里さとの皆みなの
嘆なげきを知しり 少年しょうねんたちは
「黄金こがねの灯ひを見みせてあげる」
立たち上あがるとふたり手てをかざす

闇やみを祓はらう大風おおかぜ
仄明ほのあかりの舞台ぶたいで
樹々きぎの天井てんじょうをこじ開あけた
見上みあげれば星屑ほしくずのシャンデリア

足元あしもとをさがしつづけ
あきらめて天てんを仰あおぐ
そこに 答こたえが
降ふり注そそいだ

歌姫うたひめは舞まいもどる
星灯ほしあかりの舞台ぶたいへ
くるり 黄金きんの風かぜに遊あそんで
廻まわる少女しょうじょと手てを取とり歌うたいだす

剣つるぎを脱ぬぎ捨すてた少年しょうねんも
手てを引ひかれ踊おどりだす
白しろく浮うかかぶ月つきが見みつけた
笑わらう小ちいさな涙なみだのフェアリーテイル