小ちいさな足音あしおとを
夢ゆめの中なかで聞きいた
誰だれかが私わたしの
ドアの前まえにやって来くる
少年しょうねんの眼差まなざしの懐なつかしい影かげが
あの頃ころみたいに扉叩とびらたたいてる

遠とおい雨あめの街まちを
今いまも忘わすれない
貴方あなたのバスを待まった
遠回とおまわりの帰かえり道みち
哀かなしいサヨナラさえ
今いまは夢ゆめの中なか
つまらない冗談じょうだんだと笑わらえるかしら

土曜日どようびの朝あさだから
訪たずねて来きたんでしょ?
朝靄あさもやのドアを開あけて
入はいっておいでよ、早はやく……

小ちいさな足音あしおとが
夢ゆめの中なかに消きえた
白しろい枕まくらの上うえに
古ふるい歌うたを残のこして