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あの傘かさが騙だました日ひ 空そらが泣ないていた
街まちは盲目もうもくで 疑うたがわない
君きみはその傘かさに 向むけて唾つばを吐はき
雨あめに沈しずんでく サイレンと
誰だれの声こえも聞きかずに
彼かれは雨あめを掴つかみ
私わたしの手てをとりあの傘かさへ
走はしるの
二人ふたりきりの約束やくそくをした
「絵本えほんの中なかに見みつけた空そらを見みに行いこう」
刹那雨せつなあめさえも引ひき裂さいて
もう悲かなしむ事ことも忘わすれたまま
白しろい影かげはもう追おってこなくて
とても悲かなしそうに消きえた
錆さびた匂においも煤すすけた黒くろさえも
やがて色いろを淡あわく変かえ
何処どこからか声こえが聞きこえた様ような
気きがした様ような 忘わすれた様ような
螺旋階段らせんかいだんの突つき当あたりには
とても小ちいさな扉とびらが
埃ほこりを纏まとい待まっていた
そこには何なにもかもがある様ように見みえた
色いろとりどりに咲さいた花はな 深ふかい青空あおぞら
滲にじんだ世界せかいに二人ふたりきり
もう何なにもいらないわ
絵本えほんの中なか とじ込こんだ空そらを
在あるべき場所ばしょに返かえした 忘わすれない様ように
君きみがくれた 拙つたない花束はなたばを
笑わらいながら そっと肩かたを寄よせた
世界せかいの最後さいごに傘かさを差さす
ずっとこんな世界せかいならば よかったのに
悲かなしくないわ 君きみの側そばで...
花はなの咲さいたその傘かさの上うえには
とても幸しあわせそうな顔かおで
小ちいさく眠ねむる二人ふたりがいた
街まちは盲目もうもくで 疑うたがわない
君きみはその傘かさに 向むけて唾つばを吐はき
雨あめに沈しずんでく サイレンと
誰だれの声こえも聞きかずに
彼かれは雨あめを掴つかみ
私わたしの手てをとりあの傘かさへ
走はしるの
二人ふたりきりの約束やくそくをした
「絵本えほんの中なかに見みつけた空そらを見みに行いこう」
刹那雨せつなあめさえも引ひき裂さいて
もう悲かなしむ事ことも忘わすれたまま
白しろい影かげはもう追おってこなくて
とても悲かなしそうに消きえた
錆さびた匂においも煤すすけた黒くろさえも
やがて色いろを淡あわく変かえ
何処どこからか声こえが聞きこえた様ような
気きがした様ような 忘わすれた様ような
螺旋階段らせんかいだんの突つき当あたりには
とても小ちいさな扉とびらが
埃ほこりを纏まとい待まっていた
そこには何なにもかもがある様ように見みえた
色いろとりどりに咲さいた花はな 深ふかい青空あおぞら
滲にじんだ世界せかいに二人ふたりきり
もう何なにもいらないわ
絵本えほんの中なか とじ込こんだ空そらを
在あるべき場所ばしょに返かえした 忘わすれない様ように
君きみがくれた 拙つたない花束はなたばを
笑わらいながら そっと肩かたを寄よせた
世界せかいの最後さいごに傘かさを差さす
ずっとこんな世界せかいならば よかったのに
悲かなしくないわ 君きみの側そばで...
花はなの咲さいたその傘かさの上うえには
とても幸しあわせそうな顔かおで
小ちいさく眠ねむる二人ふたりがいた