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つきあおかがやき、かぜりやまない。
ばししたひそむケモノ、
わたるモノをむさぼらう、むらビトのウワサ。
母親ははおややまいにたおれ、娘達むすめたちこころめた。
なおすための薬草やくそうは、たにこう。
すえ心配しんぱいそうに「ねぇ、りにいけるかな?」

くもつきかくほしまたたきはじめ、
ばししたひそむケモノ、
エモノがるのをってる、むらビトのウワサ。
れるばししたひそむモノがくろ
長女ちょうじょ元気付げんきづけるように、
絶対ぜったいいける!かあさんのためならぜんぜんこわくはないんだからね!」
こころおくからにじつみ、カタチになるココロの矛盾むじゅん
やさしいと残酷ざんこくって、いっしょにいられるの?」と次女じじょう。

ばしほそせまく、一人ひとりずつしかわたれない。
最初さいしょわたったすえ出逢であってしまうあのケモノ。
ふるえて命乞いのちごいも無駄むだダモノ、ケモノはさけぶ。
つぎわたってくるは、わたしより美味おいしいですよ!
わたしよりずっと可愛かわいいし、どうぞわりにしてくれませんか?」
すえがそうつたえると、ケモノはなやみ、
「そいつがるのをとうか、おまえのわり。」
こうしてすえ無事ぶじばしわたこと出来できました。

ばしほそせまく、一人ひとりずつしかわたれない。
つぎわた次女じじょ出逢であってしまうあのケモノ。
ふるえて命乞いのちごいも無駄むだダモノ、ケモノはさけぶ。
つぎわたってくるは、わたしより美味おいしいですよ!
わたしよりずっとかしこいし、どうぞわりにしてくれませんか?」
次女じじょ丁寧ていねいつたえると、ケモノはなやみ、
「そいつがるのとうか、おまえのわり。」
こうして次女じじょ無事ぶじばしわたこと出来できました。

最後さいごわたってきた長女ちょうじょに、おなじようにいかける。
ふるえて命乞いのちごいも無駄むだダモノ、ケモノがさけぶ。
ふるえて命乞いのちごいも無駄むだダモノ、長女ちょうじょさけぶ。
角折つのおって、かわはぎ、ハラワタをえぐって、しずかになった。
ゆすられるばしうえで、たたずくろ仔山羊コヤギ
れたおクスリをかえり、なみだちる。
ボロボロになってたおれてる、母親ははおやがいました。
つのられ、かわをはがされ、ハラワタはえぐりとられてました。

つきあおかがやき、かぜりやまない。
ばししたひそむケモノ、
わたるモノをむさぼらう、むらビトのウワサ。
どうやらそのひそむケモノが、三匹さんびきえたらしい。