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狐火鳴きつねびないたはな
いき途絶とだえた尾花おばな
ともしてめぐろうか幽霊火ゆうれいび
荒野照こうやてらしてちりとなる

いとしい白玉はくぎょくむくろ 彼方此方かなたこなた
夜露よつゆれたむくろ あちらこちら
うずむためのかげえもせぬ
かれてさようなら!

囂然騒然引ごうぜんそうぜんひまいろう
拝鎖はいさ! 拝鎖はいさ! かくも五月蝿うるさ
真冬まふゆ霊屋たまやあめしのげぬが
さわらすちんどん

きのみちならおれしよう
きのみちならおむかえが

手招てまねこまぬくお手手ててにぎ
つえおとひとふたつと
頸骨五寸けいこつごすんつなごうか
かぞかぞひびきゃあ
見返みかえりもらぬ愚図ぐずども
やっと気付きづくは愚図ぐずども
貴方あなたとおまえ貴様きさま
さあさまいろう貴様きさま

「ハカマイリ」

うるわしい眼精砕がんせいくだほつ
風吹かぜふあらつか卒塔婆そとば
へしさるはかばねまなこ
さがしのたうつ手踊ておどりに

拍手喝采はくしゅかっさいするむくろ 何方此方どちらこちら
ちてくぼんだむくろ どちらこちら
さが彷徨さまよかげはそこかしこに
わすれられてさようなら!

囂然騒然引ごうぜんそうぜんひまいろう
祭夜さいよ! さいよ! かくも五月蝿うるさ
真冬まふゆ霊屋たまやにゃ坊主ぼうずもおらぬが
となこえ念仏ねんぶつ

かえみちならお一人ひとり

入日いりひ頃合ころあい 大禍時おおまがどき
黄昏時たそがれどき手手てていて
手招てまね手招てまね

「おいでや」

当処あてど行方ゆくえれずの
一人様ひとりさまれずと
貴方あなたとおまえ貴様きさま
さわことなし貴様きさま

「ハカマイリ」

前様まえさま御家系ごかけい墓場はかば

かえるのよく沼地ぬまちちか
かえるのよく沼地ぬまちちか

かえかえくしゃがれたこえ
かえしゃあせんぞと怒凄声どすごえひとつ

下路下路げろげろ 下路げろ 下路げろ

もどろうか?
まいろうか?

飴玉心玉あめだまこつだま当該乞玉とうがいこつだま
目玉心玉頭蓋めだまこだまずがいたま
ならべてはしかららってせようか
ならくらせようか
姿すがたたがえどあまね余無あまな
さてもさてもうつわしい姿すがた
おいでや おいでや
かぞかぞ

こちらへ

手招てまねこまねくお手手ててにぎ
つえひとふたつと
頸骨五寸けいこつごすんつなごうか
かぞかぞひびきゃあ

くいぜ片手かたてまいろう
つぎわれらがまいろう

貴方あなたとおまえ貴様きさま
とそうぞ貴様きさま

「ハカマイリ」
「 」
「 」

かえるの頃袖ころそでくのは

さあ鬼哭啾啾きこくしゅうしゅうとびらまいろう