「僕ぼくが笑わらっているこの今いまも
どこかで誰だれか
声こえをからして泣ないている
人ひとも居いるんだよな」

少年しょうねんはそんな事思ことおもって
笑わらわなくなる
変かわりにいつどんな時ときも
祈いのるようになった

「祈いのったって
救すくえはしない」と
少年しょうねんを大人達おとなたちは笑わらう
誰一人だれひとりとして少年しょうねんの
優やさしさに目めを向むける事ことはなかった

「皆笑顔みんなえがおでいられます様ように」

そんな願ねがいで

誰だれかの流ながす涙なみだ
心こころの傷きずを

「消けしさる事ことなど出来できない」と言いい
人々ひとびとはみな
少年しょうねんを指差ゆびさし笑わらう
事ことを止やめなかった

街中まちじゅうが少年しょうねんの行為こういを
「バカげてる」
そう吐はき捨すてた

少年しょうねんが笑わらわなくなって
月日つきひだけ静しずかに過すぎ去さっていった

何十年なんじゅうねんと経たち少年しょうねんも
老人ろうじんとなる
風かぜが噂うわさを運はこんで
そしていつの間まにか

人生捧じんせいささげ祈いのり続つづけた男おとこだとして

世界中せかいじゅうが老人ろうじんの行為こういに目めを向むけたが

「祈いのったって
救すくえはしない」と
老人ろうじんを世界中せかいじゅうが笑わらう
結果的けっかてきに笑顔願えがおねがっていた
たった一人残ひとりのこし世界中せかいじゅうが笑わらった