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東一番丁ひがしいちばんちょう
ブラザーけん
硝子簾ガラスのれんがキラキラなみうち、
あたりいちめんこおりおと

んだおやじがはいって
んだいもうとをつれて
氷水喰こおりすいたべに
ぼくのわきへ。
いろあせたメリンスの着物きもの
おできいっぱいつけたいもうと
ミルクセーキのおとに、
びっくりしながら
ほそすねだして
椅子イスにずりがる。
そと濃藍色のうこんいろのたなばたのよる
ふとったおやじは
ちいさいいもうとをながめ、
満足気まんぞくげこおりみ、
ひげをく。

いもうとさじですくう
しろこおりのかけら
ぼくもむ。
しろこおりのかけら。
ふたりにはこえがない
ふたりにはぼくがえない
おやじはひげをく。
いもうとこおりをこぼす。
のれんはキラキラ、
風鈴ふうりんおと
あたりいちめんこおりおと
死者ししゃふたり、
つれだってかえる、
ぼくのまえを。
ちいさいいもうとがさきにち、
おやじはゆったりと。
東一番丁ひがしいちばんちょう
ブラザーけん
たなばたのよる
キラキラなみうつ
硝子簾ガラスのれんむこうのやみに。